英国生活日記
 
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Maria full of grace

火曜日に市図書館併設の映画館(名画座みたいなの)でMaria full of grace(邦題「そしてひと粒のひかり」)を見てきました。この映画、コロンビアのお話(後半舞台はNYですが)なので、スペイン語です。なので、英語字幕です。英語字幕は読むの疲れるのよねーー; 
どういうお話かというと、コロンビアの田舎で花工場に勤める少女マリアがそこでの暮らしからの脱却を図って麻薬の運び屋になってNYへ向かうという話です。非常にヘビーなテーマではあるけれど、最初から最後まで静かに淡々と進んで行きます。

ここで出てくる運び屋の女性達はラテックスの手袋やコンドームで何重にも包み込んで作ったぶどう大のペレット(ポスターに写ってる白い物体がソレですな)を胃の中に飲み込んで運ぶんだけど、そういう方法があるのは知識として知っていたけど、あんな大きなものを60個とか、ものすごい数飲み込むものだとは知らなかった...いくら1回運べば数年間暮らせるだけのお金が手に入るとはいえ、あんな恐ろしいことよくできるなと見ていて怖かったです...当然、運んでいる間に胃の中でペレットが破れて、ドラッグのオーバードーズで死ぬ危険もかなり高かったりするし。映画の間、まるで自分が胃の中にいっぱい何かを詰め込んでいるような感じがして気持ち悪かった( ゜┓゜) それだけインパクト強かったのです。



マリアたちもこれが犯罪であることはもちろん承知しているのだけど、罪悪感とかはなさそうです。そこがこの監督の一番いいたいところなんだろうなと思う私。 この映画のタイトルは明らかに受胎告知のガブリエルの言葉 Ave Maria, gracia plena...(Ave Maria, llena de gracia) から取っているんだと思います(昔よく歌ったので文句はそらで言える...)。 原罪を持たず、処女懐胎したマリアと、前の恋人の子供を宿し、かつおなかに麻薬を隠したマリア。 この二人の関係はすごく象徴的です。NYでいろいろな事が起こる中、マリアは本当にfull of graceだったと思います。最後にコロンビアへ向かう空港で、土壇場で、大金を握ってコロンビアに帰っていく友人に別れを告げ(目線でだけど)、NYで子供を育てて生きていこうと決めたマリアの顔は潔かった。重かったけどいい映画だった。

帰ってきてから、ネットで関連記事を読んでいたら、映画の中で登場した、NYのコロンビア人コミュニティのボス的な存在の男性で、死んでしまった運び屋の同胞のために募金をしたりして、埋葬費用を集めたり、コロンビアから出てきたばかりの人たちに仕事のあっせんをしたりしている人が、実際にそういうことをしている人がそのまま出演していたのだと知りました。そして、この映画のマリアのケースも実際に取り扱ったケースの中によく似たケースもあったとか。それとか82歳のおばあさんが重い精神疾患の息子の将来を心配して運び屋になり、NYでオーバードーズで死んだ話とかあって号泣...貧しい国の現実ですよね。ドラッグの原料になる植物がそういった貧しい国で植えられているのも、それしか収入が確保できないからという経緯もあるわけで...ドラッグが実際に消費されるのはアメリカを始めとする先進諸国なので、彼らは貿易をつぶそうとし、更に生産を絶とうと考えるわけだけど、そのためには彼らに代わりになる収入源を与えないと生きていけなくなってしまうわけです。 そんなわけで様々なことを考えさせてくれる映画でした。見る機会に恵まれて良かったです。



5月21日(土)10:50 | トラックバック(0) | コメント(0) | 日々のたわごと | 管理

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